桂林堂薬局漢方薬局 東京、漢方薬探訪、遠志と山棗仁で精神安定のお手伝い 2)

高齢者の不眠症は意外にも多いのが実情で、毎晩恐ろしい夢をみるという人も、桂林堂薬局でも数人確認できます。

特に年齢が上がるにつれて不眠を訴える人がふえますが、ぐっすり眠るにも、実は体力が必要だからなのです。
老化(気虚陰虚血虚)によって体力が衰えてくると、なかなか眠れなくなるのはそのためです。そのような不眠症漢方医学では気虚陰虚血虚から起こるものだと考えられています。
こうした老化や体力低下、心身の疲労による不眠によく効く漢方薬が、酸棗仁湯で、この酸棗仁湯については、中国の後漢時代の古典『金匱要略』に、睡眠薬としての効果が記されています。2000年ほど前から、やはり不眠に悩む人がいたのでしょうか。
 
酸棗仁湯を構成する生薬(漢方薬の原材料)は5種類です。
酸棗仁(・クロウメモドキ科サネブトナツメの種子を乾燥したもの)、知母(ユリ科多年草ハナスゲの根茎)、川きゅう(・セリ科の多年草センキュウの根茎)、茯苓(アカマツまたはクロマツの切り株の周りの土中に生えるサルノコシカケ科のマツホドの菌体の外層を除いたもの)、そして甘草(かんぞう・マメ科多年草カンゾウの根) です。

これら5種類の生薬が総合的に働き、養心安神・清熱除煩という山棗仁湯の漢方医学的効能です。

養血安神作用の酸棗仁、健脾安神の茯苓が補佐し、川芎は活血を通じて養血安神を補助します。
滋陰清熱・除煩の知母がいらいらをしずめるとともに川芎の燥性を弱め、甘草は5種類の生薬を調和します。
その結果、体力が衰えて虚状を帯びている不眠症にてきしています。反対に、虚労からくる嗜眠に用いてよいこともあるようです。
不眠症・嗜眠症・神経衰弱・盗汗(寝汗)・健忘症(物忘れ)・驚悸・心悸亢進症・眩暈(めまい)・多夢・神経症等に応用されています。

山棗仁湯の処方がなければ山棗仁生薬単味でも代用できます。