漢方薬局 東京、漢方薬局の日常 多汗症、赤面症をどう漢方薬的に解釈

漢方薬局 東京、漢方薬局の日常 多汗症、赤面症をどう漢方薬的に解釈(2

東京都目黒区 漢方薬局の奮闘 - 中目黒 漢方専門 桂林堂薬局永山の日記から

多汗症などに応用可能な漢方処方一覧
多汗症・赤面症の漢方対策から
多汗症・赤面症は状態・症状の出方がまちまちで、それに対応する漢方処方の選択に注意が必要です。
赤面するだけの場合・赤面して発汗するケース・上半身(特に首から上)がのぼせて起こる発汗・ワキガ・手足と全身に起こる発汗(じとーとした様)など、更に発汗は自律神経も多いに関係してますので処方決定は大変です。

気の上昇・血熱多汗症
全身性と局所性があり、全身性は汗を全身にかく状態のことで、中枢神経系の異常、甲状腺機能亢進症、循環器疾患、内分泌異常、代謝異常などの病気が原因となるほかに、周りの温度が高い場所で仕事していても起こる。
局所性は顔、手のひら、足の裏、わきの下など、体の特定の部位に強く汗をかく状態です。
 
全身性多汗症は原因となる病気を治療すれば治りますが、漢方薬局に最も相談の多い局所性は、精神的、神経的なことによって起こることが多く、決め手となる治療法もない。

そのため緊張しないなどの精神的コントロールや余り熱いものや辛いものを食べないように注意するほか、制汗剤による効果が期待されているが、ストレスなどで起こる多汗症漢方薬局での実績も多く、ファーストチョイスに漢方薬を使用すのが ベストといえます。
 
気虚から起こる理屈

漢方では多汗症は気力が落ち、疲れやすい虚証の人に多くみられることから、それに応じた薬方を選んでいきます。

気虚の代表処方、「黄耆建中湯」「防已黄耆湯」「十全大補湯」などがあります。
いずれの薬方も発汗の調節作用があり、表虚(皮膚の表面)を治し体表の水毒を除いて体力を回復させる「黄耆(おうぎ)」を含んでいます。
 
黄耆建中湯は「小建中湯」に黄耆を加えた薬方で、一般に体力が虚弱な人で、疲れやすく寝汗をかく人を目標に使う。

防已黄耆湯は皮膚の色が白く水太りの人に多く見られる多汗症を対象とし、疲れやすく、尿の出方が悪く、よく汗をかいて困るといったときに使われます。
薬方に含まれる「防已」「蒼朮」には利尿、鎮痛効果があり、「生姜」には健胃作用があります。

気血両虚剤、 十全大補湯は、大病したあとや慢性の病気があり疲労、衰弱しているときの寝汗に良いといわれていて、薬方の中の「人参」、蒼朮、「茯苓」「甘草」には健胃作用があり、食欲増進、消化吸収を促し、「当帰」「芍薬」「川芎 」「地黄」には補血、強壮、強心作用があり血行を良くすると考えられている。
 
精神的、神経的な要素が関わっている多汗症には、気の異常を治す理気剤を選択します。
理気剤といっても処方の数が大変多く、処方決定には苦労します。

補気薬でもあり理気薬の「補中益気湯」と理気薬「柴胡桂枝乾姜湯」
 補中益気湯は、消化機能が衰え四肢に倦怠感があり、著しく体力が落ちている時の多汗症を適応します。
薬方には、皮膚の栄養を高め寝汗を治す黄耆、当帰が含まれています。
 
柴胡桂枝乾姜湯は虚弱体質、神経過敏な人で食欲もなく尿の出方が少なく、気が上昇し頭汗があるときに適応します。  

清熱解毒薬、黄連解毒湯は、のぼせ傾向で、上半身が熱くなったり、赤面したり、イライラしたりするタイプで頭に汗をかく人に効果的です